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当コース修士2年 柳澤吉紀さん、第48回NMR討論会で優秀若手ポスター賞を受賞

【在学生関連】 掲載日: 2010/11/11
2009年11月に九州大学で開催された第48回NMR討論会で、都市環境システムコース博士前期課程2年の柳澤吉紀さんが発表した「500 MHz 高温超伝導 NMR 分光器による溶液NMR計測; 超1GHz NMRに向けて」が特に優秀な研究発表であったため、「優秀若手ポスター賞」を受賞しました。
この賞は口頭発表とポスター発表を両方行い、特に優れた若手研究者を選出して表彰するものです。

受賞した研究の内容


NMR (Nuclear Magnetic Resonance;核磁気共鳴) 装置は物質の構造を解明するために材料科学や生物学の分野で用いられており、装置を構成する超伝導マグネットの磁場が大きくなると性能が大幅に向上します。次世代技術である高温超伝導マグネットをNMR装置に適用することができれば、従来の装置を大幅に上回る性能のNMR装置が実現し、これまでにない新材料の開発や新薬の開発が可能になると言われています。しかしながら、高温超伝導マグネットをNMR装置に適用すると大きな磁場が得られる一方、磁場が乱されてしまいNMR計測が不可能になってしまう問題があります。この問題のため、これまでマサチューセッツ工科大学などが開発に取り組んできましたが、実用化してきませんでした。
柳澤さんは(独)理化学研究所、(独)物質・材料研究機構、(株)日本電子、(株)神戸製鋼所と共同で、上記の問題に関連して(1)不安定な磁場を安定化する技術の確立、(2)高温超伝導特有の磁場変動を数値解析する技術と、それを抑制する手法の確立を行い、これらの技術をもとに、(3)高温超伝導を使用したNMR装置で世界初となる生体試料の高精度NMR計測を達成しました。
これらの研究成果により高温超伝導マグネットを使用した超高磁場・超高性能のNMR装置開発の新時代へ向けた大きな突破口が開かれました。

この研究は、(独)科学技術振興機構の先端計測分析技術・機器開発事業の助成を受けています。

これらの研究成果は以下の論文誌に掲載されています。
[1] Y. Yanagisawa et al Journal of Magnetic Resonance Article in press.
[2] Y. Yanagisawa et al Physica C 469 (2009) 1996-1999.
[3] Y. Yanagisawa et al Proceedings of ICEC22-ICMC 2008 (2009) 853-858.
[4] Y. Yanagisawa et al Journal of Magnetic Resonance 192 (2008) 329-337.

指導教員:中込秀樹
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